きたみリブログ

北見市立図書館ブログです

【常呂】2月のロビー展示は「松岡享子さん特集」

 松岡享子さんの訃報(2022年1月25日)に接し、今月のロビー展示は「松岡享子さんの作品特集」。常呂図書館が所蔵している59作品を展示・紹介しています。

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松岡享子さんの作品

 松岡さんは、「うさこちゃん」シリーズをはじめとするディック・ブルーナの作品や「くまのパディントン」シリーズなど、外国の作品を数多く日本の子どもたちに紹介してきました。また、自作の絵本や物語も数多く残しています。

 ブログを書いている私自身、子ども時代には絵本などは家の中にも学校にもなく、ましてや図書館って何?の環境でした。
 したがって、松岡享子さんが訳した作品やご自身の著作は、おとなになってから読んだものばかりです。そのうち、「おふろだいすき」「とこちゃんはどこ」「みしのたくかにと」「おやすみなさいフランシス」「くまのコールテンくん」「しろいうさぎとくろいうさぎ」「なぞなぞのすきな女の子」「あたまをつかった小さなおばあさん」は、我が子が寝る前に布団の中で読んであげた記憶があります。

 子どもが味わう感覚とは違いますが、温かさやユーモアがあり、何より文がこなれてウマいなと感じたものです。30年くらい前のことで、今ほどには絵本や子どもの読み物が充実してはいない時代でしたが、これらの作品に出会ったことは今思うに幸せなことだったと感じます。

 特に、ご自身の作品は、絵を担当する作家との共同作業がステキです。「おふろだいすき」のサイズ、「とこちゃんはどこ」のサービス精神、「なぞなぞのすきな女の子」のおとぼけ感、今読んでも個人的には楽しめます。

 その後、子どもの本を数多く読むことが趣味を兼ねた仕事になり、松岡さんが訳したマーガレット・ワイズ・ブラウン、シャーロット・ゾロトウ、ドン・フリーマン、マリー・ホール・エッツなどの作品にも触れるようになりましたが、その当時だからできたことだったのだと思うばかり。きっと松岡享子さんが果たした役割はとてつもなく大きなものだったのでしょう。               
 他にもバイロン・バートン、バーバラ・クーニー、パット・ハッチンス、ジョン・バーニンガム、ピーター・スピア、H.A.レイ…あれこれ食指を伸ばしたた作家が思い浮かびます。

 

  

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「ペンギンくらぶ」セット

 さて、常呂図書館では、小学校に入学するまでの幼児を対象に、絵本を数冊入れたバッグを隔週で届ける「ペンギンくらぶ」という児童サービスを行っています。

 読んだ本の感想を寄せてくれる親子で、この親子なら読んでもらえそうな家庭には、シャーロット・ゾロトウ「いまがたのしいもん」やドン・フリーマン「しずかに ここはどうぶつのとしょかんです」「くれよんのはなし」などを〈読んでもらえたらうれしい・おまけ〉の感覚で届けたことがあります。絵は古くなっても、お話を読んでもらうことが好きな子なら、松岡さんが訳した物語は今でも渡し方によっては楽しんでもらえるような気がします。松岡さんの文が脳に刻まれた子どもは、文の良さを感じるセンサーが身につくのでは、などと思ったり…。

                    

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「うれしいさん かなしいさん」

 最近活躍しているのは、「うれしいさん かなしいさん」(まつおかきょうこ さく・え 東京子ども図書館 2012)。サイズ、文、デザイン、絵、しかけ、色…子どもたちが楽しめる要素が詰まっています。

 

 北見市内には100冊以上の松岡享子さんの作品があります。じわりと作品が借りられ、そういえば最近、松岡享子さんの本がちらちら借りられるわと図書館員が気づいたらおもしろいだろうな…と。