こんにちは、常呂図書館です。
日が落ちるのも早くなり、冬の到来も間近に迫っていますね。みなさん、冬支度はお済みでしょうか? タイヤ交換やスコップ等の準備、衣替えなど、本格的な冬がやって
くる前に早めに終わらせてしまいたいものですね。
さて、みなさん常呂遺跡はご存じですか? 聞いたことはあっても、足を運んだことはないという方もおられると思います。
そこで今回は、常呂遺跡について簡単にではありますが、ご紹介したいと思います。
常呂遺跡というのは一つの遺跡の名称ではなく、「常呂竪穴群」「栄浦第二遺跡・栄浦第一遺跡」「岐阜台地西部竪穴住居群」「トコロチャシ跡遺跡群(トコロチャシ跡・トコロチャシ跡遺跡・トコロチャシ南尾根遺跡)」の総称となります。
1974(昭和49)年に国指定史跡に、2004(平成16)年には北海道遺産に選定されています。また、「世界文化遺産暫定一覧表記載候補の文化遺産」としても位置づけられています。
1. 史跡常呂遺跡(岐阜台地西部竪穴住居群) 2. ライトコロ川口遺跡 3. 岐阜第三遺跡 4. 岐阜第二遺跡 5. 史跡常呂遺跡(栄浦第二遺跡) 6. 史跡常呂遺跡(常呂竪穴群) 7. 常呂川河口遺跡 8. トコロチャシ跡遺跡 9. トコロチャシ南尾根遺跡 10. トコロ貝塚 11. 大島2遺跡
かつて北海道では、気候の関係で農耕が難しく、弥生時代に移行せずにそのまま縄文時代と同様の狩猟・採集の文化が続いていきました。これを「続縄文時代」と呼びます。今から2400年~1400年ほど前の時代です。その後、今でいう奈良・平安・鎌倉時代の本州から伝わった新たな土器づくりの技術や鉄器が普及した「擦文時代」、室町~江戸時代くらいの「アイヌ文化期」と続いていきました。
また、オホーツク地域には続縄文時代と擦文時代の間に海獣(アザラシ・トドなど)の狩猟、漁業などで生活してきた「オホーツク文化」という独自の文化も根付いていました。
これらの時代の資料が多数発見されており、特に、常呂川河口遺跡から発見された、縄文時代から続縄文時代のものとされる「常呂川河口遺跡墓坑出土品」は、令和5年6月27日に、国の重要文化財に指定されました。現時点で北見市唯一の重要文化財となります。一部、代表的な資料は、ところ遺跡の森内にある、「ところ遺跡の館」で展示されています。
ところ遺跡の館(左上)で展示されている出土品
また、ところ遺跡の森周辺にはサロマ湖やワッカ原生花園などがあり、豊かな自然に囲まれています。キタミフクジュソウやオオバタチツボスミレといった貴重な植物、エゾリスやエゾシマリス、キタキツネなどおなじみの動物たちをはじめ、オジロワシやオオワシなどの天然記念物も見られることがあります。
常呂図書館ではそんな多種多様な動植物をまとめた資料、常呂遺跡に関連した資料も所蔵しています。
宇野 彰一・撮影(左から)「春夏秋冬 ところ遺跡の森の四季2007」
「写真集 遺跡の森のエゾシマリス」
(左から)東京大学文学部常呂実習施設・考古学研究室 編「オホーツクの古代文化」
菊池 徹夫・宇田川 洋 編「オホーツク海沿岸の遺跡とアイヌ文化」
今回ご紹介した資料は所蔵しているもののごく一部です。ご興味をお持ちになられた方はぜひ、常呂遺跡・常呂図書館まで足をお運びください!